建設業許可には、許可を受けるための要件として大きく6つの基準が設けられております。
- 適切に経営業務を行うことができる体制を有する者であること
- 専任の技術者を有していること
- 適切な社会保険に加入している者であること
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
今回は専任技術者とはどのような人なのか、および専任技術者になるためにどのような要件を満たす必要があるのかについて解説します。
目次
専任技術者とは?
専任技術者とは、工事の請負契約を適切な内容で結び、その工事を契約通りに実行するための役割を担う技術者と説明されます。
適切な契約を結び、契約通りに工事を実行するためには取得する建設業種の工事内容に関して一定以上の知識や経験が必要となるため、専任技術者は「建設業に関する技術面でのプロ」ということができます。
建設業許可申請においてこの専任技術者が各営業所に一業種につき1人ずつ配置する必要があります。
また、専任技術者となるものは営業所に常勤であることが求められます。
専任技術者になるための要件
専任技術者として認められるための要件は、「一般建設業」で申請する場合と「特定建設業」で申請する場合で異なります。
「特定建設業」は、下請業者の保護や工事の適切な施工を目的として設けられているため、「一般建設業」の場合と比べ要件が厳しくなります。
一般建設業の場合
一般建設業で申請する場合、次のいづれかに該当している必要があります。
- 申請業種に関して法定の資格免許等を有している
- 申請業種に関連する学科を修めた後大卒で3年、高卒または専門学校で5年以上の申請業務についての実務経験を有している
- 学歴の有無を問わず、1つの申請業務について10年以上の実務経験を有している
①申請業種に関して法定の資格免許等を有している
建設業許可において、専任技術者として認められる要件の1つ目は業種に対応した資格や免許を持っているかどうかです。
建設業許可には29の業種が存在し、その29業種ごとに専任技術者になることが認められる資格や免許等が設定されております。
後述する実務経験での申請の場合実務経験を証明するために過去の工事履歴(契約書や注文書・注文請書など)が必要となりますが、資格等での申請の場合合格証明書や登録証などを提出するだけでよく、申請をスムーズに進めることができます。
このため、資格と実務経験どちらの要件も満たすことができるのであれば、資格で申請するのが得策です。
②申請業種に関連する学科を修めた後大卒で3年、高卒または専門学校で5年以上の申請業務についての実務経験を有している
申請業種に対応する資格保有者がいない場合、申請業種に対応する実務経験をもとに申請を進めていくことになります。
申請に際して必要となる実務経験は基本的に10年以上となりますが、申請業種に関連する学科を卒業している場合、大卒なら3年、高卒・専門大学卒なら5年にそれぞれ短縮することが可能です。
業種別の指定学科については以下を参考にしてください。
③学歴の有無を問わず、1つの申請業務について10年以上の実務経験を有している
専任技術者候補者が申請業種に対応する資格や学歴を持っていない場合申請業種に関する10年以上の実務経験があることを証明することで専任技術者に認められることができます。
特定建設業の場合
特定建設業にて許可申請を行う場合専任技術者となるものは次のどれかひとつを満たす必要があります。
- 申請業務に関して法定された免許資格等を有していること
- 一般建設業の要件を満たした上で発注者から直接請け負った4500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的実務経験を有していること
①申請業務に関して法定された免許資格等を有していること
一般建設業で申請する場合と同様に保有資格等によって専任技術者になることができますが、業種に対応する資格の幅は一般建設業の場合よりも狭くなってます。
②一般建設業の要件を満たした上で発注者から直接請け負った4500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的実務経験を有していること
こちらのパターンで申請する場合専任技術者候補者が2つの条件をクリアする必要があります。
まず第一の条件として、一般建設業の要件を満たしていることが必要になります。
一般建設業での要件は前述のとおり3つありますが、このどのパターンでも問題ありません。
第二の条件として、直接請け負った4500万円以上の工事に関し2年以上の指導監督的実務経験を有していることが必要になります。
指導監督的実務経験とは、建設工事の設計や施工の全般に関して工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で、部下や下請けに対し工事の技術面を総合的に指導監督した経験のことを指します。
この2つの条件をどちらも満たしている者がいる場合その人について専任技術者として申請することができます。
「土木工事業」、「建築工事業」、「菅工事業」、「鋼構造物工事業」、「舗装工事業」、「電気工事業」、「造園工事業」
専任技術者と主任技術者は兼任できるの?
専任技術者は基本営業所に常駐していることが求められるので、工事現場での専任が義務付けられている主任技術者との兼任は認められていません。
しかし次の要件をすべて満たす場合専任技術者と主任技術者を兼任することができます。
人材が不足している場合などに有効活用してください。