建設業新規許可までのロードマップ
目次
STEP1 申請内容の特定しよう
まずはじめにどのような内容で申請を行うかを特定していきます
確認事項は以下の3点
- どの業種で申請するか
- 一般建設業か特定建設業か
- 知事許可か大臣許可か
1 どの業種で申請するか
建設業許可には2つの一式業種、27の専門業種の計29業種が用意されてます
そのうちのどの業種について許可を取得する必要があるのかを特定します
2 一般建設業か特定建設業か
建設業許可には「一般建設業」・「特定建設業」の2つの区分が用意されてます
許可取得を目指す業種について以下の二つを確認します
- 元請けとして工事を受任する
- 1を満たす場合一件の工事に対して下請に発注する金額の合計額が税込み4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円以上)になる
1,2をともに満たす工事を行う場合は「特定建設業」で、行わない場合は「一般建設業」で申請を行います
3 知事許可か大臣許可か
建設業許可には「知事許可」・「大臣許可」の2つの区分が用意されてます
この2つの区分を特定するには営業所の数と所在地を確認します
知事許可:1つの都道府県でのみ建設業法に基づく営業所を設ける場合
大臣許可:2つ以上の都道府県に建設業法に基づく営業所を設ける場合
以上の基準をもとにどちらで申請する必要があるかを特定します
STEP2 許可要件の確認しよう
建設業許可には以下の6つの許可要件が設けられております
- 適切に経営業務を行うことができる体制を有する者が常勤していること
- 専任の技術者を有していること
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 適切な社会保険に加入していること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
STEP2では6つの許可要件を自社で満たすことができるかどうか、要件を満たしていることを書類によって証明できるかを確認していきます。
1 適切に経営業務を行うことができる体制を有する者が常勤していること
簡単に説明するなら建設業に関する経営面のプロが一人常勤している必要があります。
常勤役員等や経営業務の管理責任者(経管)と呼ばれる方がこれにあたります。
法人の場合は常勤役員のうち1人、個人の場合は本人または支配人が次の要件のいづれかに該当する必要があります。
2 専任の技術者を有していること
専任の技術者(専任技術者)とは工事の請負契約を適切な内容で結び、その工事を契約通りに実行するための役割を担う技術者であり、技術面のプロにあたる方です。
建設業法では、営業所ごとにこの専任技術者が常勤で配置されていることが義務付けられております。
専任技術者と認めらるための要件は「一般建設業」と「特定建設業」の場合で分けられ以下のようになります
- (1)一般建設業の場合(以下のうちどれか1つを満たせばOK)
-
- 申請業種に対応する資格や免許等を有している
- 学歴の有無を問わず申請業種に対して10年以上の実務経験を有している
- 申請業種に対応する学科を修めた後、大卒で3年高卒又は専門学校卒で5年以上の実務経験を有する者
- (2)特定建設業の場合(以下のうちどれか1つを満たせばOK)
-
- 申請業種に対応する資格や免許等を有している
- 一般建設業の要件を満たし、指導的監督経験を2年以上有している
- 国土交通大臣より上記1,2と同等の能力を有する者として認定を受けた者
※指導監督的経験とは、現場代理人、主任技術者、工事主任、設計監理者、施工監督などの立場で、部下や下請けに対し工事の技術面を総合的に指導監督した経験のことを指します。
3 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
建設業許可において、申請者の財産が一定の水準に達していることを求められます。
財産要件に関しても一般建設業と特定建設業で別の基準が設けられております。
- (1)一般建設業の場合(以下のうちどれか1つを満たせばOK)
-
- 自己資本(直前決算の純資産額)が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力を有すること(預金残高証明書や融資証明書等)
- (2)特定建設業の場合(次のすべてを満たす必要がある)
-
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えてないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2000万円以上であり、かつ自己資本の額が4000万円以上であること
4 適切な社会保険に加入していること
加入義務のある社会保険は以下の3つ
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
対象
- 健康保険・厚生年金
-
株式会社など法人の事業者(一人社長の場合も含む)や従業員が常時5人以上いる個人事業主
- 雇用保険
-
原則として労働者を雇用するすべての事業者
※ 法人の取締役や個人事業主本人は加入したくても加入できない
※2 労働者でも週20時間の勤務だったり日雇労働の場合加入義務なし
5 請負契約に関して誠実性を有していること
役員等及び営業所長等、又は申請者本人及び支配人が請負契約に関し不正または不誠実な行為をする恐れが明らかである場合許可を受けることができません。
例)建築士法、宅地建物取引業法等で不正又は不誠実な行為を行ったことにより免許取り消し処分を受けて5年を経過しないとき。
6 欠格要件に該当しないこと
建設業許可申請において、欠格要件が設定されております。
ここですべてを紹介するのは控えますが、破産手続開始の決定をうけて復権をえない者や暴力団とのつながりがある者等計14項目あります。
STEP3 申請書類の作成しよう
STEP1で申請内容の特定、STEP2で許可要件を満たしていることを確認したらいよいよ申請書類の作成を行います。
申請書類の作成については以下の5段階で進めていきます。
1 手引き(しおり)の入手しよう
建設業許可において、都道府県ごとに必要書類や形式など細かい部分について微妙に違いがあります。そのため、申請先の都道府県の手引書を入手し確認することが必要になります。
入手方法はホームページからダウンロードするのが一番早く簡単です。
【申請先の都道府県 建設業許可 手引き】などのワードで検索し都道府県のホームページよりダウンロードしてください。
2 必要書類の特定しよう
手引きを参考にしながら申請内容についてどのような書類が必要となるのかを洗い出します。
申請者が法人なのか個人なのか等で必要となる書類や量が変わりますので手引きをよく確認のもと特定を進めてください。
3 必要書類の収集しよう
申請に必要となる書類の特定ができたら次に書類の収集を行います。
必要書類に関して大きく分けて2つの種類があります。
- 許可申請書
- 添付書類
許可申請書とはあらかじめ様式が決められている書類であり手引き同様各都道府県のホームページよりダウンロードすることができます。
添付書類とは役所が申請内容に間違いがないことを確認のために必要となる書類のことです。
確認書類には契約書や注文書などの「社内に保管されている書類」と身分証明書や登記されてないことの証明書などの「社外から発行してもらう」の2種類あります。
4 申請書類の作成しよう
必要書類の収集が終わればいよいよ申請書類の作成になります。
書類の作成については手引きに記入方法、注意点、見本等が記載されておりますので熟読のもと進めます。
押印についてはすべての書類に記入が終わった後最後にまとめて押していくのをお勧めします。
また、提出部数についても手引きや役所に電話するなど事前に確認し必要部数を揃えるようにしましょう
5 作成した申請書類を確認しよう
申請書類がすべて作成し終わったら最後に申請書類の最終チェックを行いましょう。
申請書類に不備があった場合窓口で修正をを求められ、その場で修正できない不備があった場合、一度持ち帰る必要が出てきます。そうなった場合スケジュールに遅れが出る可能性もあります。
事前にチェックを行うことで上記リスクを未然に防ぐことができます。
STEP4 申請書類を提出しよう
申請書類の作成が終わったら書類を窓口に提出しましょう。
提出に際して「知事許可」と「大臣許可」で申請先や手数料が変わります。
申請先に関してはホームページや手引き、電話などで確認してください。
料金については 知事許可:9万円 大臣許可:15万円それぞれ必要になります。
無事申請が受理されたら申請書に「受理印」が押され副本(写し)が変換されます。
受理後も補正により追加資料の提出が求められる可能性はありますので注意してください。
STEP5 許可申請後にやらなければならないこと
申請が受理されたのち1~2か月間の通常審査期間を経て、問題がなければ許可通知書が郵送されます。
それをもって無事建設業許可業者の仲間入りとなります。
許可業者となった後許可を維持するためにやらなければならないことがいくつか存在しますので紹介します。
- 標識の設置
- 更新
- 決算届
- 変更届
決算届、変更届を提出してない場合更新の際に受理されない場合がございますので必ず提出するようにしましょう。
標識の設置
建設業許可業者は、店舗および建設工事(発注者から直接請け負ったものにかぎる)の現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲げなければなりません。
店舗に掲げる標識の例
建設工事の現場に掲げる標識の例
更新
建設業許可の効力は許可を受けた日から5年目の対応する日の前日をもって満了します。
5年以降も許可を維持したいのであれば更新申請を行う必要があります。
更新申請に関する受付は県によっても多少異なりますがおおむね以下の期限内に提出することになります。
知事許可の場合→許可期限の2か月前から30日前
大臣許可の場合→許可期限の3か月前から30日前
決算届
許可取得後毎年提出が必要です
提出期限は事業年度終了後4か月以内で、事業年度における工事経歴や建設業法に則った決算書などを提出しなければなりません。
変更届
以下の事項に関して変更があった場合、定められた期間内に変更届を提出する必要があります。
変更内容 | 提出期限 | |
---|---|---|
1 | 経営業務の管理責任者に変更又はその氏名に変更があったとき | 2週間以内 |
2 | 専任技術者に変更等又はその氏名に変更があったとき | 2週間以内 |
3 | 使用人(営業所長)に変更があったとき | 2週間以内 |
4 | 経営業務管理責任者又は専任技術者が欠けた場合 | 2週間以内 |
5 | 欠格要件に該当することとなった者があったとき | 2週間以内 |
6 | 商号又は名称に変更があったとき | 30日以内 |
7 | 既存の営業所の名称、所在地又は業種に変更等があったとき | 30日以内 |
8 | 資本金額(出資総額)に変更があったとき | 30日以内 |
9 | 役員等に変更があったとき | 30日以内 |
10 | 個人の事業主、支配人又は法人の役員等の氏名に変更があったとき | 30日以内 |
11 | 支配人に変更があったとき | 30日以内 |
12 | 毎事業年度(決算期)を経過したとき(決算の変更届) | 事業年度終了後4カ月以内 |
13 | 使用人数に変更があったとき | 事業年度終了後4カ月以内 |
14 | 令第3条の使用人(営業所長)の一覧表に変更があったとき | 事業年度終了後4カ月以内 |
15 | 国家資格者等・監理技術者一覧表の記載技術者に変更があったとき | 事業年度終了後4カ月以内 |
16 | 定款に変更があったとき | 事業年度終了後4カ月以内 |
17 | 健康保険等の加入状況に変更があったとき | 事業年度終了後4カ月以内 |